実録?百物語

63、お化け屋敷 その3

text by 網屋徹

怖い話好きだった兄貴が体験
した話。前話と前々話で取り上げたお化け屋敷を探検しに行ったらしい。今度は昼間に。rnrn怖くて逃げ出
したという悔しさと、家の中を見たいという好奇心をどうしても押さえられなかったらしい。そこでまあ、
ちょっと気の弱い話ではあるが、昼間に行くことにしたんだと。rnrn今度は別の友人と2人で行ったそう
な。その友人は、その家で一家惨殺があったことや、前に兄貴が体験したことを知っていたので、家に近づくに
つれて引け腰になってきたらしい。前回のような音は聞こえてこなかったが、兄貴もさすがにちょっとびびって
たんだと。しかし、どうしても家の中を見たかったので、怖がる友人を家の外において、1人で家の中に入ったそ
うな。rnrn家の中には、特別にこれというものがあったわけではないらしい。が、妙なことに気づいた。二
階屋なのに階段がないんだと。ふと見上げると、天井にぽっかり穴が開いている。もとは階段があったと言わん
ばかりに。rnrn苦労して二階によじ登ると、一階と違って空気が冷たい。事件は二階で起きたに違いないと
確信したが、ただそれだけで他に何があるというわけでもない。窓から外を見ると、友人がこっちを見上げてい
た。rnrn二言三言、言葉を交わしたらしい。特に収穫もないから、もうそっちに戻るよとかなんとか。お化
け屋敷なんて、案外なにもないもんかもな。rnrn外に出て友人と合流し、そのまま車に乗って帰ったらし
い。が、どうもその友人の様子が変なんだと。おびえた様子で口も聞かない。はっきりしない態度にだんだんム
カついてきて、「いつまでびびってんだ!」と怒鳴りつけると、友人はおどおどしながらこんなふうに言ったそう
な。rnrn「さっきお前が二階の窓から顔を出したとき、お前の後ろに誰か立ってたよ...」

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