実録?百物語
27、因果
text by 網屋徹
大学時代の後輩、FOくんから聞いた話。彼が小学2年生の頃、親の仕事の都合で田舎に住んでいた。家の裏は墓場で、彼は、その上にある崖に上ってよく遊んでいたそうだ。
ある日のこと。お父さんやお兄さんと一緒に崖の上で遊んでいたのだが、ふとしたはずみに手を滑らせて、崖から落ちてしまった。ごろごろと崖を転がり落ちたが、幸いなことに、ドスンとなにかにぶつかって止まることができた。
見上げると、どうやら墓石のひとつにぶつかったらしく、ぶつかった衝撃で墓石が倒れてしまっている。助けてもらった形になったのだから、そのままにするわけにもいかず、お父さんやお兄さんと一緒になって、墓石を元の位置に戻したそうだ。
数日後のこと。近所に住むある夫婦が亡くなった、というニュースが飛び込んできた。坂道にクルマを駐めた際にサイドブレーキをかけ忘れたらしく、自分の車に轢かれて亡くなったらしい。
詳しい話を聞いてびっくりしてしまった。FOくんが倒してしまったお墓は、亡くなった夫婦の先祖のものだったそうだ。