実録?百物語

33、地下室

text by 網屋徹

私の母校の大学に伝わっている話。

その大学は、もともとお墓があった場所に建ててあったらしい。お墓は別の場所にきちんと移してあったから、それが原因かどうかわからないが、奇妙ないくつか話が伝わっている。そういえば、私が受験した当時、敷地内で古墳の調査をしていた。そんな昔から、墓として使われていた土地だったようだ。大学のあるH市が大阪の鬼門にあたるということも関係あるのかもしれない。そして、そのH市の鬼門にあたる位置に、その大学はあった。霊感の強い受験者の中には、「こんな怖い大学、もし受かっても絶対行きたくない」と言って、試験を受けずに帰っていく人もいるらしい。まあ、どの学校にも、その手の話はあるものだが。

さて。その大学では、11月の学園祭とは別に、プチ学園祭みたいな催しが6月に開催されていた。私が入学した年に、そのプチ学園祭はたしか6回目かなんかだったと記憶しているが、その歴史の初期にあったという出来事。

プチ学園祭の準備をするため、ある女子学生が先輩の命令で、ある校舎の地下室まで物を取りに行った。ところが、学生が中にいることに警備員が気づかずに、施錠してしまった。その地下室はいわゆる用具入れみたいな場所で、年に1回、プチ学園祭の時しか開けられることがない。地下室に閉じこめられた女子学生は、そのまま餓死してしまったらしい。

一年後、プチ学園祭の準備でその地下室が開けられたとき、件の女子学生が変わり果てたで発見されたんだと。それ以来、その校舎のエレベーターに1人で乗ると、どの階のボタンを押しても、必ず地下室まで行ってしまうとか。

閉じこめられたのは女子学生ではなく、遊びに来ていた近所の男の子であるとか、諸説ふんぷんの話。

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