実録?百物語
39、煙
text by 網屋徹
大学の後輩からまた聞きした話。rnrnある男が、新築のワンルームマンションに入居した。引っ越したその日の晩、部屋でたばこを吸っていると、妙な
ことに気づいた。普通なら筋状にたち登るはずのたばこの煙が、なんとなく淀んでいる。おかしなこともあるも
んだ、と思ったそうな。rnrnそれからしばらく経ったある日、夜に部屋でたばこを吸っていると、妙なこと
に気づいたんだと。たばこの煙が、床の方へ流れていく。おかしなこともあるもんだと、そう思ったそうな。r
nrnそれからしばらくして、何かが上の方から落ちてくる夢を見るようになった。何かが自分をかすめて下の
方へ落ちていく。同じ夢を頻繁に見るので、おかしなこともあるもんだ、と思ったそうな。rnrnそれからし
ばらく経ったある日、ベッドに入ったもののなんとなく寝つけず、天井を見上げていたんだと。すると、天井か
ら男が落ちてきて、自分を通り抜けて下の方へ落ちていった。一瞬の後、下のほうでなにかが潰れるような音が
聞こえたそうな。rnrn後日、気になって調べてみると、そのマンションが建つ以前に、その場所で男が投身
自殺をしていたことがわかった。