実録?百物語
13、大雨の日に
text by 高橋カオリ
これは、私の母のおばあちゃんにあたる人のお話です。まだ母が幼かった頃、おじいちゃんはすでに亡くなっていたそうです。
ある日の朝、おばあちゃんが「枕元におじいさんが立ったので、今日は墓参りに行かなくてはいけない」と言ったそうです。外は土砂降りの雨。まわりのみんなは「今日でなくても明日にすればよい」と言って止めたそうですがそうしても今日行かなければと言って、ずきんをかぶり、雨の中を歩いて墓参りに出かけたとか。
そしてその日、おばあちゃんは電車にひかれて亡くなったそうです。
土砂降りの雨とずきんで、踏切の音が聞こえなかったのではないか、などいろいろなことがいわれたそうですが、真相はわからないまま。もしかしたら、おじいちゃんに呼ばれて行ってしまったのかもしれません。