実録?百物語
34、トイレ
text by 網屋徹
私の母校の大学に伝わっている話。前話で語った校舎の話。とある階にあるトイレには、鏡が1枚もないらしい。この世にあらざるものが映ってしまうからだそうだ。かつて、そのトイレで、ある学生が自殺をしたのだとか。
その校舎に行く機会はほとんどなかったので、鏡がほんとにないのか確かめたことはない。ただ、その校舎が建っている場所こそが、もともとお墓のあった場所だと聞いたことがある。
ちなみに、卒業以来10年ぶりにその場所を訪れてみたら、大学は別の場所に移転しており、敷地には市の建物が建てられていた。当時から老朽化していた件の校舎は、すでに取り壊されて跡形も残ってはいなかった。