実録?百物語
16、深夜の編集部 その2
text by 網屋徹
某雑誌の編集部で同僚だった、KOくんから聞いた話。1人で編集部に残って徹夜で残業してたんだと。 例によって編集部内のあちこちで物音や気配がして、悪寒を感じていたのだが、そんなことに構ってはいられないほどせっぱ詰まっていたらしい。
が、その悪寒が極度に強くなったと思ったら、自分の席から右に2つ目の席に強烈な気配を感じた。びっくりしてその席の方を振り返ると、彼の見ている前で、その机の上にあった本立てと書類が、バン!と音を立てて逆さまにひっくり返ったそうな。その後は何も起こらなかったそうだが、もう仕事どころではなくなって、そのまま固まってしまってまんじりともせずに朝を迎えたんだと。
翌朝、件の机の主であるMKさんが出社した。自分の机の周りに散らばった本や書類を見て驚いていたが、KOくんがわけを話すと、「ああ、ここってやっぱりそういうことあるんだ…」と言われたそうな。ちなみに、MKさんの席は、編集部内にあると言われていた霊の通り道の、それも終着点側の場所だった。